東京から広島までロードバイクで走ってみた|30代ひとり旅の5日間

※本記事は昨年末の旅行記を今更ながら投稿したものです。
「ロードバイクを買ったら、どこまで行けるんだろう?」
そんな思いつきから始まった、東京から広島までの5日間の小さな冒険の記録。

はじめに|ロードバイクを買った夏と、年末の思いつき

2024年の夏、人生で初めてロードバイクを買った。いつか本格的に自転車で旅をしてみたいと思っていたけど、忙しさにかまけて後回しにしていた夢だ。

どうせなら思い切りやってみたい。じゃあ、どこへ行こう?と考えたときに思いついたのが、東京から生まれ故郷の広島まで走ってみることだった。

年末のまとまった休み、天気も悪くなさそうだし、今しかない。そんな気持ちで、僕の初めての本格チャリ旅が始まった。

1日目|東京を出発、パンクと温泉と心折れかけた夜

1日目の朝は6時すぎに東京を出発。冬の空気は冷たかったけど、走り出せばちょうどいいくらいの温度。天気も快晴で、風も穏やかだった。

神奈川に入ったあたりで一枚写真を撮ったとき、やっと「始まったんだな」と実感した。


全部で800〜900kmくらい。最初は全部こいで行くつもりだったけど、1日200km走り続けるのはさすがに無理があるとすぐに悟った。



それでも初日は気合いで静岡の藤枝あたりまで到着。時刻は夜の8時前。脚はパンパンで、頭の中は「温泉入りたい、ご飯食べたい、寝たい」でいっぱいだった。

ところがホテルまであと10キロのところで、まさかのパンク。暗い道端で30分格闘してもタイヤの立ち上げができず、タクシーを呼んで何とかホテルにたどり着いた。

正直、「もう帰ろうかな」と思った。でも、ホテルの温泉に浸かって体を温めたら「ここで諦めたらダメだ」という気持ちに変わっていた。

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2日目|輪行で三重へ、石垣屋で人と出会う夜

2日目の朝はまず自転車屋さんへ。無事に修理してもらえたけど、思ったより時間がかかってしまったので、予定を変更して輪行で進むことにした。

藤枝駅から電車に乗って亀山駅へ。そこからまた自転車を組み立てて、三重県の関市へ向かった。



この日の宿は「旅人塾 石垣屋」。有名なゲストハウスらしく、その日は満室状態だった。

オーナーさんが出迎えてくれて、中には10代の若い子から50代、60代くらいの大人まで、いろんな人が集まっていた。同じ宿の人の車で近くのスーパーに行って、食べたいものやお酒を買って、みんなで一緒に囲んで食べた。

普段なら絶対に会わない人たちと、夜遅くまで話し込んだ時間は、今回の旅で一番「ああ、旅してるな」と思えた瞬間だった。

3日目|新快速で姫路へ、海沿いのゲストハウスでゆったり

3日目はまた自転車で走り始めたけど、タイヤの空気がどうもうまく入らず、手持ちのミニポンプで必死に空気を入れた。試行錯誤したところどうも空気を入れるのにコツが必要みたいだ。30分暗い格闘して何とか空気が入るようになった。またもタイムロス…。

「本当に広島まで行けるのか」

そんな思いもありながら、柘植駅駅まで走って、琵琶湖方面へ行き新快速に乗ることにした。

新快速で姫路駅まで一気に移動し、そこからまた少し自転車をこいでたつの市へ。この日の宿は「アスタリスク」というゲストハウスで、室内だけどキャンプ気分が味わえる不思議な空間だった。

泊まっていたのは僕を含めて2人だけ。前日の賑やかさとは打って変わって、波の音を聴きながら静かに過ごす夜だった。

4日目|日生港で朝の牡蠣、広島までたどり着く

翌朝、海沿いを自転車で進み、日生港に立ち寄ったら朝から大いににぎわっていた。茹でたての牡蠣をポン酢で食べると、寒さで疲れた体に染みわたって、思わず顔がほころんだ。



そこから岡山駅まで走って、新幹線に乗って広島駅へ。広島に着いてから自転車を組み立てて、マツダzoomzoomスタジアムの周りをぐるっと走った。「ついに帰ってきたな」という気持ちがじわじわ湧いてきた。

その日のゴールは祖母の家。玄関を開けて顔を見たとき、初めてこの旅がちゃんと終わったんだと実感した。

最終日|祖母と過ごす時間と、帰り道のクリームパン

翌日は午前中、祖母とゆっくり話をして過ごした。何年ぶりだろう。祖母との二人きりの時間。これまで聞いたことのない昔話をしてもらった。あの時間が今回のゴールにはぴったりだった気がする。

そのあと、広島名物のお好み焼きを食べ、お土産に八天堂のクリームパンを買って、新幹線で東京まで一気に戻った。



初日からいきなりパンクしたり、体力的にしんどかったり、心が折れそうな場面は何度もあった。それでも、諦めずにこぎ続けて、ちゃんと広島までたどり着けたことは、素直に嬉しい。

ロードバイクで旅をするって、ただの移動じゃなくて、途中の景色も、人との出会いも、疲れた体に染みるご飯も、全部が旅の一部になるんだと改めて思った。

ロードバイクで旅に出るとき、必要なのは強い脚力よりも、
「まぁ何とかなるか」という気持ちなのかもしれない。

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